マイホーム取得優遇措置

生活用資産は、まさに生活を守るためのかけがえのない資産として独立して機能するべきですし、投資用資産は、あらゆる専門性を駆使して、不動産でなければ得られないような優良なパフォーマンスをあげることに特化すべきです。本は、この二つの資産を同一視してきたことが最大の失敗でした。気がついて見れば、最も大切に扱うべき生活用資産ほど過剰なバブルの影響を受けてしまったのです。一方で、日本には本格的な不動産投資市場が歴史的に不在でしたから、生活用資産と同じつもりで保有した不動産は例外なく価値の暴落に見舞われ、いまも塩漬け状態のままです。バブル崩壊後も、景気対策と称して次々と打ち出されるマイホーム取得優遇措置は、むしろ価値の下落と強烈な供給過剰圧力として、追い打ちをかけるように生活用資産市場を襲いました。価値の下落と慢性的な供給過剰が、生活的資産保有を逆に困難な状態に陥れたのです。その傷跡は、主に次の二つの点できわめて深刻です。【(一)オーバーサプライ(供給過剰)】日本の生活用資産は、フローでもストックでも明らかに供給過剰な状態です。統計上は、世帯数四二六万人に対して住宅の数は四五八八万戸と一世帯当たり一・二戸の住宅ストックが存在していることになります。もっとも、住宅のストックが世帯数を上回ったのは、実は二○年以上も前の話です。しかも住宅総数の二%、約五六四万戸が空室のままですから、統計上は、日本ではむしろ余裕を持って住宅探しをすることができるのです。中古住宅の流通戸数が極端に少ないのも日本の特徴です。

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